あの日のミニ、あの道の記憶

今月の車検で、もうミニに乗って10年以上が過ぎた。


ネットで見つけた個人売買のこの車に、心臓をギュッと掴まれたのは今でもはっきり覚えている。画面に映る小さいクルマ。それなのに、まるで画面から飛び出してきそうなほど存在感があった。気づけば、仕事の合間にオーナーへ連絡を入れていた。

現車を見に行ったのは、5月の連休明け。目の前に現れたのは、オールドイングリッシュホワイトのボディに包まれた小さなミニ。写真以上に小さくて可愛らしく、同時に少し頼りなさそうにも見えた。エンジンをかけ、試しに運転席に座る。重たいハンドルを握ると、ゴムブッシュが擦れるような独特の感触が手に伝わった。アイドリングの振動も、すべてが新鮮で胸がドキドキした。どこか心許ない感じが、むしろやけに愛おしく思えた。


そして、その日に代金を払い、そのまま乗って帰った。


それからはただただ「運転できるだけで楽しい!」そんな日々が続いた。アクセルを踏んでも音ばかり大きくてなかなか前に進まないのに、夫婦でそれが可笑しくて仕方なかった。小さなボディが左右に揺れ、段差で跳ねるたびに心まで浮き上がった。道の先に何があるのか、それだけが楽しみで、同じ道を何度もぐるぐると往復したものだ。


2015年12月、そのオールドイングリッシュホワイトのボディを思い切って今の色にオールペンした。色は変わっても、ミニは変わらずそこにいて、相変わらず不器用に小さな体を揺らしながら走ってくれる。あれからもう10年。今はハンドルを握る手にも余計な力は入らず、わずかな音や振動で「今日は調子がいいな」「ちょっと疲れてるかな」と感じ取れるようになった。まるで、古くからの友達の顔色をうかがうように。


でも、今こうして思い出すのははじめてこの車に乗った日のこと。


重いハンドルを握ったあの感覚が、自分にとってのミニの原点。これからも、あの時のように少しだけ胸を高鳴らせながら、この小さな相棒といろんな道を走っていきたい。

クラシックミニ雑貨|日遊品 トミー1号2号

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