競わなくていい。 ただ一緒にいてくれる車があればいい

免許を取ったばかりの若い頃は、車といえば"速さ"と"格好良さ"の象徴だった。信号が青になれば少しだけ踏み込んでみたり、他の車より先に走れたら妙に誇らしかったり。馬力やカスタム具合、排気量、スペックがそのまま自分の価値みたいに感じていた時期があった。


あれからウン十年過ぎ、体力や気力が昔ほど無理できなくなった今、あの頃の「競争」はちょっと遠い世界の話である。大きな病気やケガ、身体の変化...思い通りにならない現実を経験したからこそ、「強いこと」より「そばにいてくれる存在」のありがたさを実感する。

キザな言い方だけど、最近、ミニを運転するたびにそう思う。


ミニは決して速くないし、大きくもない。最新の安全装備が付いているわけでもない。でもキーを回すと少し不安定な鼓動でエンジンが目を覚まし、「今日も一緒に行こう」と静かに寄り添ってくれるような安心感がある。

だから無理に飛ばす必要もなく、周りと張り合う必要もない。自分のペースで、景色を確かめながら走る時間がチョー心地いい。


正月休みのある日、久しぶりに山の方まで走った帰り道。ふと「もう、昔みたいに競わなくていいんだ!」と思った。誰よりもカッコよくなくてもいい。誰かに見せびらかすためでもなくていい。それは仕事も私生活も全てにおいて。

ただ、"今の自分"に合わせて、静かに寄り添ってくれる相棒であれば十分だ。昔は気づけなかったけれど、今になってようやくわかる価値がある。


車や人は強さの象徴じゃなくてもいい。


人生が少し不安定になったとき、「大丈夫だよ」とそっと背中を支えてくれる存在だっていい。だから今日も、無理せず、競わず、自分らしい速度で走る。

ただ一緒にいてくれたらそれでいい。

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